今回は、ベイトリールのドラグとはどういうものなのか、仕組み、調整方法などを解説していきます。
ベイトリールのドラグとは
魚が急に走り出したなどでラインに負荷がかかった時に、ラインが巻いてあるスプールを巻くのとは逆回転に滑らせてラインを放出するシステムをドラグといいます。
このドラグのおかげでラインが切れるのを防ぐことができたり、針に掛かった魚の身切れを防ぐことができます。
ベイトリールのドラグの2つの力
ベイトリールのドラグ力は、最大ドラグ力と実用ドラグ力があります。
最大ドラグ力とは、各メーカーが公式に発表している、ベイトリールのドラグを最大限に締めた時にラインが出ていく時の力です。
しかし実際にフィールドで使う場合には、気温などの気象条件でドラグワッシャーのグリスがゆるんだり、魚が走ってドラグに熱を待たせる熱ダレと呼ばれる現象が起きてしまうなどで、メーカーが公式に発表している最大ドラグ力の50〜80%程度しか出ません。
また、スプールいっぱいにラインが巻いてある時よりも、ライン放出後の方がスプールの径が小さくなるため、ドラグ力が上がります。
よって、その時その時の状況変化で出せる最大限のドラグ力が、実用ドラグ力と呼ばれるものなのです。
ベイトリールのドラグの仕組み
ベイトリールのドラグを分解すると、中からステンレス製の座金とドラグワッシャーがミルフィーユのように交互に重ねられたものが出てきます。
ドラグワッシャーの材質や枚数はメーカーや機種によって変わりますが、仕組み自体はどのベイトリールも変わりません。
スタードラグを締め付けることによって、ドラグワッシャーに圧がかかり、ドラグ力が働く仕組みになっています。
このドラグワッシャーの素材を変えてあげることで、ドラグ力を変えることも可能です。
ベイトリールのドラグ調整方法
ベイトリールのドラグの締め方とゆるめ方
ベイトリール上から見た時に、ハンドルの隣にスタードラグが付いています。
このスタードラグを前に送り出すように回すとドラグを締め、反対に回すとゆるめることができます。
左巻き用のベイトリールは逆になります。
ドラグはどのぐらいの力に調整するのか
1.実際に使用される竿にリールをセットし糸をガイドに通してください。
出典:シマノカスタマーセンター19アンタレス取扱説明書より引用
2.クラッチを“ON”の状態にして、想定されるファイティング時のロッドの角度を保って、図のように糸を引き出しながらスタードラグの締め付けを調節して下さい。
その際、出来るだけ実際の状況に近づける為、対象とする魚の泳ぐスピードを想定して糸を引き出してください。
一般的なベイトリールのドラグの調整の仕方は上記の通りであり、具体的にどの程度の力で調整するかは決まっておらず、通常のドラグ調整であれば図の通りで構いません。
しかし、実釣でドラグをどのくらいの力に調整するのかは、狙う魚種や釣るフィールド、タックルのセッティングによって異なり、一般的な調整では対応できない場合があります。
それでは、一般的ではない例外とも言える、ゆるめのドラグ調整や、思いっきり締めつける調整の例をみていきましょう。
ドラグがゆるくても良い例
ラインブレイクとなる要素が何もない場合、ドラグがゆるゆるでも時間をかければ魚を釣り上げることができます。
砂地を好むマダイを釣るタイラバや一つテンヤは、ラインを切られる要素がないため、ドラグはゆるめのセッティングでも構いません。
ドラグの調整が心配な方は、ゆるめのセッティング〜一般的なセッティングの中間ぐらいで良いでしょう。
また、魚の食いが浅い時は、針が皮一枚で掛かる場合もあります。
このような場合も、ゆるめのドラグ調整で身切れを防ぐことができます。
ドラグを締めつける調整の例
ストラクチャー(障害物)を好むブラックバスや、瀬や漁礁に付く青物は、ドラグを少しでも出される障害物へと魚が入り込まれ、ラインブレイクしてしまいます。
よって、障害物に魚が入り込まないように、ドラグを思いっきり締め付けてラインを引き出されないようにし、障害物から出てきた所で必要であればドラグをゆるめてやりとりしなければなりません。
ベイトリールのドラグが滑る!?締まらない現象の対策
ベイトリールのドラグが何かしらの不具合が原因で滑ることがあります。
その大きな原因は3つあり、
- ドラグワッシャーにオイルが入った
- ドラグ締めすぎによるドラグワッシャーの劣化
- 実はドラグではなくラインが滑っている
が挙げられます。それでは、詳しくみていきましょう。
ドラグワッシャーにオイルが入った
ドラグ部分には、絶対にオイルを付けないでください。
出典:シマノカスタマーセンター19アンタレス取扱説明書より引用
オイルが入ると、ドラグ力が低下することがあります。
ドラグの中にオイルが入ってしまうと、ドラグ力が低下してドラグが滑る現象が発生してしまいます。
この場合、オーバーホールをし、オイルを脱脂したあとにドラグワッシャー専用のグリスを塗らなければなりません。
ドラグ締めすぎによるドラグワッシャーの劣化
実釣の時にドラグを締め付けるのは大丈夫ですが、釣行後もドラグを締め付けたままだとドラグワッシャーの劣化を早めてしまいます。
ハンドルやクラッチ等の作動部を動かしてよく水を切った後、ドラグをゆるめ、直射日光を避けて陰干ししてください。
出典:シマノカスタマーセンター19アンタレス取扱説明書
シマノの公式でも、釣行後はドラグをゆるめるようアナウンスしています。
釣行後のベイトリールの保管は、必ずドラグをゆるめるようにしましょう。
実はドラグではなくラインが滑っている
PEラインを巻いている時に起こりやすい現象なのですが、ドラグが滑っているのではなく、実はラインが滑って回転しており、ドラグが滑っているように感じている場合があります。
この場合は、スプールにちゃんとラインを固定してあげれば問題ありませんので、最初からラインを固定し直し、巻き直すようにしましょう。
まとめ
ドラグの調整は非常に難しく、多少の経験が伴ってくることです。
ぜひ、自分が使っているベイトリールの限界値を知り、ドラグ調整を徐々に覚えてみてください。
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